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日本カー・オブ・ザ・イヤーは11月3日、ジャパンモビリティショーを開催中の東京ビックサイト会場内ステージで「10ベストカー」の発表を行ないます。日本カー・オブ・ザ・イヤーとしてジャパンモビリティショーとの連携を行なっていくわけですが、この連携を快諾いただいたジャパンモビリティショー 実行委員長 長田准氏に、日本カー・オブ・ザ・イヤーとの連携に対する思いをうかがってきました。

ジャパンモビリティショー 実行委員長 長田准氏


──日本カー・オブ・ザ・イヤーとしては、日本のクルマを盛り上げていきたいという強い思いを持って運営しています。同じ思いを持っているジャパンモビリティショーとCOTYで連携できないかということで、11月3日午後にCOTY2023の10ベストカー発表会をジャパンモビリティショーの会場内ステージで開催させていただく予定になっています。

 東京モーターショーからジャパンモビリティショーに名称が変わった2023年、ジャパンモビリティショーはモビリティの未来の拡大、モビリティ参加企業の拡大、モビリティ体験の拡大をうたっています。ジャパンモビリティショー 長田実行委員長の思いを教えてください。

長田実行委員長: 2年前はコロナ禍でスキップしましたが、4年前に東京モーターショーを開催しました。今もそうですがあの時も、自工会会長を豊田(章男氏)がやっていました。東京だけでなく、100万人前後のプラットフォームは、コロナ前でいうと北京・上海モーターショー(交互開催)、パリモーターショーぐらいで、いわゆるオートショー、自動車ショーがどんどん地盤沈下している状態です。しかしながら自動車というものは魅力的な製品ですし、100万人が集まるプラットフォーム、いろいろな発信ができるものを作っておけば、自動車の未来にも相当貢献できるのはないか、ということで前回は関係者皆で精一杯盛り上げをはかりました。

 今回はそこからコロナ禍を経て4年経ったわけです。その間に自動車の環境は、ご承知のとおり、BEVがかなり普及してきましたし、そこから先に見えるSDV(ソフトウェアデファインドビークル)も、ものすごく出てきているものですから、モビリティを軸にして、前回作ったプラットフォームをもっと新しく、もっとよくしていきたいという思いで取り組んでいます。

 そういう意味で、今回どのように100万人を集めるかについては、CES(米国ネバダ州ラスベガスで年初に開催されるテクノロジショー)のように専門的な方ばかりではなくて、我々としてはいろんな仲間を集めて、そこに家族連れも、高校生、中学生、小学生のみなさん、そういう人たちにも楽しい体験をしてもらうことで、モビリティで日本もよくなりますし、自動車は終わったコンテンツではなく、新しくいろいろなものを作っていけるということを示したいと思っています。それが、我々としての一番の根っこにある思いです。

──我々としても若い世代に、モビリティの楽しさ面白さを知ってほしいと思っています。今回、Tokyo Future TourとかStartup Future FactoryとかH2Energy Festivalのような新しい取り組みがあります。今回、東京がジャパンになり、モーターがモビリティになるわけですが、まだみんなフワッとしか理解できていないと思います。

そこを私たち日本カー・オブ・ザ・イヤー加盟媒体39媒体で、ジャパンモビリティショーの面白さを発信していきたいと思っています。長田委員長は先日の会見で「日本のモビリティを支えていく強い想い」という言葉をおっしゃっていました。そのために100万人が必要なのだというお話しをしていらっしゃいました。陸海空の海空という今までのモーターショーになかった要素が加わったときに、どのような面白いことが起きるのか、長田さんにはすでに絵が見えていると思います。そこを教えてください。

長田実行委員長: 地上を走っているモビリティはいろんなことができるのですが、今、各地で実証実験的に、たとえばドローンを使って配送をしていくという話はもちろんあります。ボートを使うという話もあるのですが、今回の僕たちの思いは、半分楽しんで、エンタテイメントみたいに、「うそだぁ!」と思うようなことでも、やっぱりこういった陸海空の3つの領域のモビリティが組み合わさることによって、とにかく一番大切なのは、生活者の暮らしが豊かになる、便利になるというところだと思います。

 今、日本はものすごく災害が多いです。インフラも大切ですが、都市計画、それにプラスしてモビリティの力があれば、そういったリスクに対する対応力も高めていけるのではないかということで、僕たちの生活の楽しさや利便性プラス、安心安全のところも広くモビリティが社会のインフラと連動してがんばっていきます、楽しくやっていきたいですというところを分かっていただけるようなフューチャーツアーにしているつもりですので、そこをご覧いただけると本当にありがたいです。

──きっと我々の想像を上回るものが出てくると思って期待しています。先ほどCESのお話しがありました。きっとジャパンモビリティショーはCESとも北京・上海MSとも違うものになっていくのだと思います。我々の世代は中学生・高校生のときから電車に乗って晴海(笑)に行ったわけですが。

長田実行委員長:僕もそうです(笑)。

──ワクワクしたし、大学生になって、社会人になって働いてこのクルマを買おう、欲しいというのがありました。それがかつての東京モーターショーで200万人(1991年)にもなっていました。先日の会見だと、3~5年先だけではなくて2030~2035年をイメージしてという話でした。参加企業400社で、みなさんそういうビジョンを今回のジャパンモビリティショーに持ち込んでこられるのでしょうか?

長田実行委員長: そう固く考えているわけではないんですよ(笑)。なんで30~35年と申し上げたのかというと、ひとつそういう目線は必要だよねって思いました。なぜなら、産業全体としてやっていきたいものですから、30~35年くらいの、たとえば、Future Tourのなかでいうと生活シーンはどう変わるのか、あるいは食のところがモビリティを使ってどう便利になるのかっていうのをやっていくので、その辺りにみなさんにモビリティをまず出していただいて、それを僕ら事務局とクリエイターたちで「こんなふうに使えない?」っていう提案をして、「みなさん、いかがですか?」っていうやり方で進めています。

 ですので、実際にご覧になったら、「2030年じゃこれ、無理でしょ」とか「もっと進んでいるでしょ」ってことは少なからずあるんだと思います。ただ、その出来映えがそれなりのリアリティを持って、「わ、楽しいよね」っていう感じを持ってもらえたら、それでいいんじゃないか、と僕は思っています。

──今回東京モーターショーからジャパンモビリティショーに名称が変わって、2年後もジャパンモビリティショーですよね。これからずっとジャパンモビリティショーということになるのでしょうか?

長田実行委員長: そうです。

──ジャパンモビリティショーとしての第一歩ということで、我々もすごく期待しています。モビリティショーって名前がついているショーっておそらくないと思います。

長田実行委員長: 世界で主だったところではないと思いますね。

──そういう意味ではモビリティショーの新しいカタチを今年お作りになるのだと思います。我々COTYの加盟媒体は、Webだったり雑誌媒体だったりいろいろあるわけです。ライフスタイル系もありますが、基本的にクルマ好きの人たちに向けてコンテンツを作っているところが多い。読者はいわば「伝統的なクルマ好き」が多いわけです。その人たちは、まずジャパンモビリティショーに来てもらわなければいけない。我々もビックサイトに一緒に行かなければいけないんだと思います。それ以外の人たちにどうやってアプローチして、来てもらってワクワクしてもらうのかというのがジャパンモビリティショーの成否を握ることだと思います。その辺りはクルマではなくてモビリティ、その人たちに何を提供して、足を運んでもらうためにどのようなプランをお持ちでしょうか?

長田実行委員長: おっしゃるとおり、クルマ好きな方には従来のプロモーショーンネットワークでやっていけばよいと思っています。前回もそうだったのですが、来ていただく方の大半には、クルマに興味のない方もおられます。モビリティへのこだわりはなくても何か楽しいことやっているよねっていう方が多くて。期待しているのはファミリーであったり、高校生より下の皆さんなんです。

 そうしたときに、不特定多数の人の場合は日本ではマスメディアが一番ですので。今テレビ局のほうでも相当僕らも働きかけを始めています。そういうテレビなどのマスメディアの力に加えて、ネットやSNSなど、デジタルで追いかけて拡散していく、これは大きなカタマリの1つです。

 もうひとつ、学生さんへ向けては、会見のとき「東進ハイスクール」さんと取り組むという話をしました。東進ハイスクールはものすごい数の学生さんを抱えています。お話しにいったら、東進ハイスクールの常務の方が非常に感銘を受けてくださって。自分が塾という産業でやっているのは、学校教育では日本はよくならない、だから新しい塾というところで、合理的に勉強してもらって、その余力で何かいろんなことをやってもらいたいという思いで創業したとおっしゃっていました。彼らのオウンドメディアに必ず載せますからということで始めていただき、「(学生は)無料だからジャパンモビリティショーへ行こうね」って載せてもらっています。

 首都圏の学生がたくさんいらっしゃるので、そういう意味では一例ですが、取り組んでいます。それから、首都圏各地の教育委員会などに、働きかけてもいます。とにかく来ていただきたい方には、思いを届けています。イベントはやはり大きくて、それは若い人たちに対して訴求力がありますので、そこを刺激していくということをやっています。

──だから音楽やお笑いのイベントがあるのですね。

長田実行委員長: そうです。ある機会に日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員の方や実行委員の方に言われたのです。「モビリティだけでは、人が来ませんよ」って。そりゃそうですよねって話で、とにかく集まってもらって、見てもらえればよいのではないかって。そこから広がるよねって。前回もそうだったんです、実は。

──前回は130万人というものすごい人出でした。今回は100万人、できたら130万人いきたい。我々もクルマを盛り上げていかなきゃいけないし、クルマ好き、クルマに興味を持っていただける人が増えていかないと、クルマに関するコンテンツっていうのは、今後も必要になると思っています。

 今回、ジャパンモビリティショーの事前の盛り上げをCOTY加盟団体39媒体とCOTY自体でどうしていくか、今議論をしているところです。もちろんSNSを活用してジャパンモビリティショーへ行こうよ、とか今回の会見を告知していきますので、微力ながら盛り上げていきたいと思っています。

長田実行委員長: 微力だなんて、とんでもない。ありがたいです。

──我々COTYなので、「今年のCOTY、どのクルマが獲得するのだろう」「10ベスト、どんなのが入るのかな」っていうのが、家庭では晩ご飯のときに話題に上るとか、学校で僕らのときはそうだったのですが、「今年のCOTYはこれらしいぞ」という話題になっていて、それが将来、クルマが欲しいね、自動車メーカーに入りたいね、というところにつながったと思います。そんなサイクルができるといいな、と。

長田実行委員長: そうですね。僕らもそう思っています。そういう意味で、特に高校生以下には、クルマというよりクルマをベースとしたモビリティっていう社会に1人でも2人でも興味を持っていただけるとありがたいです。

──小学生ってみんなクルマが好きなんですよ。すごく好きで、それがどこかのタイミングでだんだん醒めていくときがあるらしいんですよ。そこが中学生なのか高校生なのか、どうしてなのか、というのを繙いていかにと、どこでクルマから気持ちが離れてしまうのか、あるいは20代の人に話を聞くと、クルマが欲しいってみんな言っているんですよね。クルマを欲しいが、クルマを買ったり乗ったりというところになかなか結びつかないのはどうしてなのか。我々として考えていかないといけないと思っています。自動車メーカーの方はもっと考えていらっしゃると思うのですが。

長田実行委員長: 多分そこは今回だけでなくて、これからモビリティということに対しての提案やビジネスになってくると思うのです。クルマという、ハードウェア単位で買っていただいて乗るということは多分少なくなっていくと思うのです。でも、これはよく言っているように、ライドシェアを含めてそうなのですが、共用のものにしていって、そのなかで移動の体験がデジタルで、SDVみたいな世界で広がっていけば、お客さまの生活体験としてはよいのではないかなと思っています。今までのようにクルマを買って、クルマからくるFun to Driveみたいなことは小さくなったとしても、そこはそこで密度が濃い世界を提供できるので、関連して広がっていく産業になればいいな、と思っています。

──長田委員長の個人的な思いをうかがいたいのですが、僕らの年代だとモーターショーに結構行っているのです。

長田実行委員長: 行ってます、行ってます。

──あのモーターショーでこんなクルマを見たというのを今でも憶えているという思い出はありますか?

長田実行委員長: ありますよ!めちゃくちゃありますよ。東京モーターショーは1980年代が楽しかったですよね。面白かった。国産メーカーのコンセプトカーが見られることもよかったし、当時はポルシェにしてもメルセデスにしても、輸入車がモーターショーに出ていて見られたことのワクワク感が圧倒的でしたね。

──輸入車の話になりますと、この前の会見でも質問が出ていました。インポーターがなかなか参加してくれなくなっている。それは当然クルマの販売に直接結びつけないと、という思いですか? 長田委員長としてはどうお考えですか?

長田実行委員長: 急に増えるとは考えていないです。さっき申し上げたように100万人とかそれ以上のプラットフォームがモビリティを語る、モビリティをテーマにしていろんな発信をする、ダボス会議みたいな機能を持ちたいと思っています。そういうことを東京から世界へ発信していく場になってくれば、自ずと昔みたいなカタチではないにしてもお客様が戻ってこられるのではないでしょうか。

 今回、BMWでありがたかったのは、インポーターとしてではなくてヘッドクオーター(本社)としてやっていただいていますから。そういうところが1つでも2つでも広がっていけばいいなと僕は思います。

──今、ダボス会議みたいな、というお話がありましたが、ジャパンモビリティショーの会場に各自動車メーカーのトップが集まって、ある意味そこで首脳会談みたいなことを?

長田実行委員長: そのようなことがあると面白いかな。そういうことを日本でやるってないじゃないですか。どの産業でも。昔はパリとかフランクフルトにそういう機能がちょっとありました。でも今はどちらかといえば、CESでそれをやっている。

──中国の自動車産業が力をつけてきました。今回のジャパンモビリティショーで中国の存在というのは、どうなっていますか?

長田実行委員長: たとえば、出展予定のBYDさんなどですね。ぜひいろいろなところに出ていただいて、ジャパンモビリティショーがモビリティの世界の集まりになればいいと思っています。

──我々メディアとしての見方と、一般の方で「好きなアーティストのライブがあるから」「お笑いのライブがあるからジャパンモビリティショーヘ行こうぜ」という……。

長田実行委員長: そうです、そうです。そのとおりで、それでジャパンモビリティショーへ行ってきたら、モビリティの面白いものがあって楽しめる……そういうイベントって、今まであるようでなかったんですよ。

 たとえば、海外では僕も行ったことがあるのですが、モータースポーツのNASCARのレースでライブイベントがあるんですよ。結構な人たちの。1980年代ですが、なんとブルース・スプリングスティーンがいたのです。それは行きますよね、NASCARに興味なくても。ライブにつられて見に行ったらNASCAR、めちゃくちゃ面白いんですよね。あれでいいと思うんですよね。面白いじゃんって。

 今回のジャパンモビリティショーのライブも、高校生やそれより下の層が行ってみようというモチベーションにはなると思います。価格の設定も他の音楽イベントなどと比べると割安かと思いますので。

──我々は事前も、もちろん会期中も、イベント後もたくさんレポートを出していくことになります。もっとも大事なのは事前。ジャパンモビリティショーへ行こうよというムードをどう盛り上げていくかというところで、COTYとしてはぜひ、微力ながらお役に立ちたいと思っています。

長田実行委員長: ありがとうございます。非常にありがたいです。

──11月3日(10ベストカー発表会)もジャパンモビリティショーのステージをお借りします。

長田実行委員長: ありがとうございます。



Japan Mobility Show WEB SITE
https://www.japan-mobility-show.com/


(聞き手:日本カー・オブ・ザ・イヤー 副実行委員長 鈴木慎一)



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